2014年4月15日火曜日

La Caíta

3月のペーニャ例会はカイータ登場、と言っても映像で (2014年3月2日、ANIFセンター)。映画『ベンゴ』で歌うカイータに衝撃を受け、それまでフラメンコに縁のなかった日本人サラリーマンが、片言のスペイン語とビデオカメラを携えてバダホスまで彼女に会いに行ってしまった、その記録映像を本人の解説付きで見るという企画だ。僕はカイータに思い入れがないので、むしろこの日本人、長住さん (仮名) の思いの強さと行動力に感銘を受けた。すごい人だ。

映像は、今のヒターノたちが直面している問題にも触れていて、単なるカイータ詣での記録ではない。また、『ベンゴ』や『ラッチョ・ドローム』のとは違う、リラックスしたカイータのカンテを聞くことができて、それも面白かった。とは言え、これでカイータが大好きになったりはしなかったが。師匠たちによると (つまり僕には判断できなかったということだが)、彼女はカマロンの追随者で、バダホスの伝統を良く伝えるようなカンテを歌っているわけではないらしい。しかし、これが大好きになれない理由なのではない。単に、聞いてあまりピンと来ないというだけのことだ。うん、でも『ベンゴ』のカイータはまあ悪くない。

さて、永澄さん (仮名) はカイータでフラメンコに引き込まれた後、 (多分映画『フラメンコ』で) パコ・トロンホを知り、衝撃を受ける。そして、パコ・トロンホの伴奏をつとめた日本人ギタリストがいるという事実に驚き、そのギタリスト、エンリケ坂井に電話をかける。この行動力もすごい。パコ・トロンホが生きていたら、やっぱり会いに行っていたにちがいない。その映像、見てみたかった。