2014年4月15日火曜日

Inés Bacán

去年の後半は珍しく締め切りに追われる生活をしていたのだが、今年に入ってから、締め切りを追う生活に戻った。というわけで、消費税も上がり、新学期も始って授業が一巡したところで2月の話だ。

Inés Bacán リサイタル (東京フラメンコ倶楽部例会、2014年2月2日、スタジオ・カスコーロ)。とても良かった。とにかく無理なところがない。吠えたり力で圧倒しようとしたりなんてところも、ウケ狙いもない。こういうのを聞くと、「ヒターノたちが代々受け継いできたものだけが本物のフラメンコ」と言う人たちがいる理由も分かる (賛成するという意味ではないので、念のため)。もちろん、本当に「入って」歌っていたらもっとすごかったに違いないが、まあまあ気持ちよく歌ってもらえたようだ。

既に曖昧になって作られた記憶と化したものをたどってみると、歌ったのは (順不同で)、ティエント、ファンダンゴ・ポル・ソレア、ソレア、カンティーニャス・デル・ピニーニ、ナナ、シギリージャ、マルティネーテ (あと他にもあったかもしれない)、そして1部と2部の終わりにそれぞれブレリア。最後に一緒に来日していたコンチャ・バルガスが飛び入りで踊るというおまけつき。

歌った中では、ひいおじいさんピニーニのカンティーニャも楽しかったが、個人的にはシギリージャが良かったと思う。僕の師匠は、以前スペインで Inés の本当に素晴らしいシギリージャを聞いたのだそうだ。そんなすごさの片鱗のようなものが、もしかしたらちらっと見えたかのかもしれない。