2013年4月20日土曜日

Podría haber + pp.


ボストンの爆弾テロの容疑者が拘束されたという記事を読んでいて、こんなパッセージが目にとまった。

Podría haberse dado a la fuga en un coche verde de la marca Honda con matrícula de Massachussettes 16GC7, se informaba. O estar agazapado en cualquier rincon (sic) de Watertown, como resultó suceder  (Elpais.com: 2013/04/20).

Poder の過去未来形 (podría*) と不定詞の完了形 (haber + 過去分詞) の組み合わせは「することが出来たのにしなかった (過去の非実現)」を表すと教えているが、この例はそうではない。実際にはそうじゃなかったということは確かだが、ここでは容疑者がすでに車に乗って逃げてしまったのかも知れないし、まだ町のどこかに隠れているのかもしれないという過去のある時点 (se informaba) での可能性あるいは推量が述べられているだけなのだ。

過去未来形の用法には、大きく分けて2つの類型がある。ひとつは過去を基準点にしたもの、もうひとつは現在を基準にしたもの (正確には、基準点として現在/過去の対立がないもの)。前者は過去から見た未来 (Rojo/Veiga の indicativo-0) と過去の不確実 (indicativo-1) に分かれる。後者は非現実や婉曲を表す (indicativo-2)。«Podría haber + pp.» が過去の非実現を表すのは、非現実の用法 (indicativo-2) の場合で、基準は現在にある。現在から見ているから、結局しなかったということが言えるわけだ。

それに対して今問題にしている例の場合、基準点は se informaba によって言及されている過去の時点だ。また、podría 以下は informar された内容だから、その時点で「結局そうではなかった」と言ったと解釈するわけにもいかない。つまりこれは過去の時点での推量を表す (indicativo-1)。Poder 自体が可能性を表すので、それにさらに不確実性・推量を加えるのはよけいな感じもするが、こういう例はそれなりに出てくるという印象がある (日本語でも「ありうるかもしれない」なんてつい言ってしまうことがあるが、客観的な可能性と主観的な推量を分けて考えることができるかもしれない)。

前にも書いたが、過去未来形の用法は学習者にとって難関で、基準点を軸に整理してみせても、なかなかピンと来てくれない。何か良い方法はないものだろうか。