2013年11月24日日曜日

Buen precio


出張中、スペイン在住の卒業生と話をしているときに、その人の口から「いい値段」という表現が飛び出した。僕が「それは buen precio の直訳だね」と言い、ああなるほど、ということになった。

スペイン語で buen precio と言えば買い手にとって良い値段、つまり安くてお得な値段のことだ。それに対して、最近の日本語で「いい値段」と言うと、高いという意味になるのが普通のような気がする。その人はお買い得の意味で「いい値段」という言い回しを使ったので、僕はスペイン語の直訳だねと言ったわけだ。

「いい値段」が「高い」になるのは、たいてい「いい値段する」のような形で使われるときという印象がある。他の組み合わせでは、安いという解釈が自然な場合もあるだろう。たとえば「いい値段で買った」はどうだろうか? 僕自身は「いい値段」が高いという意味で使われるのを聞くたびに、かすかな違和感を覚えるので、そんなに前からある使い方ではないのかもしれない。まさか buen precio という言い方を覚えてから僕の日本語感覚が変化したなんてことはないだろう。何はともあれ、ネイティブスピーカーの記憶なんてあてにならないから、本当に気になったら、ちゃんと調べないといけない。