2013年7月19日金曜日

Blancanieves


僕の周辺でこの話題がにわかに盛り上がっているので、僕も砂一粒。

Blancanieves がスペイン語であり、スペイン語のカナ表記としては「ブランカニエベス」が一般に受け入れられたものであり、これを「ブランカニーヴス」と書くのはおかしい(この「おかしい」には、笑えるという意味とそうすべきではないという意味の両方が含まれる)。抗議すべきだという声には僕も共感する。

表記の問題なのではなくて、邦題の創出なのだとしても、結果は変わらない。「ブランカニーヴス」という日本語として無意味な音連続が、この映画の何を表し得ているのか、考えてみるとよい(まあ、考えるまでもないか)。

それと同時に、そうでないものを英語っぽく表記したりすることは今の世の中もうダサダサである、と思い込んでいた僕は、それが幻想であることに気づかされた。まったく有り難い。「ニエベス」はダサくて「ニーヴス」は売れる、ということなのだろう。英語ではない言語を専門にしたりしていると、こういうパースペクティヴを失ってしまうわけだ。

マジな話、「ブランカニーヴス」は、単にスペイン語という特定の言語に対してではなく、ことばに対する respeto を欠いた、傲慢な態度の産物である(僕は respeto の日本語訳にはいつも困っていて、ここでもそのまま使わせてもらう)。日々、スペイン語について知らなかったことに気づいては「ああ、もっと謙虚にならなければ」と思うことを繰り返している身としては、他山の石としたい。