2019年6月4日火曜日

Calamares

先日、某ファミリーレストランで食事をした時に、メニューに「カラマリフリット」というのがあるのに気づいた。イカを輪切りにしたのを揚げたやつのことだが、イタリア語で calamari は calamaro の複数形、fritto は単数形なので、輪切りにされた複数のそれのうち1つだけが揚げてあるのだろうかという議論になった。申し訳ないことに、この仮説を検証することはしなかったが、期待が裏切られて calamari fritti が出て来る可能性が高い。

だが、本当の問題は、この複数形は何の複数なのかということだ。スペイン語でも calamares fritos と複数形で言うので、これ以降 calamar / calamares の話にする (イタリア語の複数形とスペイン語の複数形が同じ理由で表れているとは限らないので)。さっきは、輪切りになった「それ」の複数形だというような書き方をしたが、実際そうだという保証はない。もしそうならば、その輪っかを1つつまんで un calamar とか、2つ食べて me he comido dos calamares と言えておかしくないはずだが、どうなんだろうか、という問題だ。ネット上の画像で見ると、calamar と単数形で言っているのは輪切りになっていないやつだ。

複数形というのは、単純なようでいて実は難しい。ネイティブには当たり前に思えるらしく、具体的で詳しい研究が見当たらない。Calamares fritos は何となく複数っぽい感じがするけれど、輪切りとは別のところに理由がないと断定はできない。あるいは puré de patatas とかはどうだろうか。直接見えるわけではないが、材料に複数のジャガイモを使っているのだろうか。それとも何か別の要因があるのだろうか。幸い、この辺りのことを調べている人がいるので、僕は何もしなくて良さそうだ。その人の研究成果が美味しい論文になるまでお腹を空かせて待つことにしたい。