2017年2月6日月曜日

『フジタの白鳥』

佐野勝也著。



ー昨年11月に亡くなった友人の著書で、ようやく出版にこぎつけたものが先週末に届いた。中身と著者についての簡単な説明を出版元のページで読むことができる:

http://edimantokyo.com/books/9784880084657/

興味が出たら、あるいは出なくても、ぜひ買って読んでほしい。友人の書いた本なので、客観的な紹介はできないし、美術史は専門外だから学術的な批評もできないが、藤田嗣治が携わった舞台美術という、これまでおそらくほとんど研究されてこなかったテーマに真正面から取り組んだ労作だ。友人の感想としては、おお、よくここまで調べたな、すごいじゃないかと思い、専門外の研究者としては、思考を刺激する面白い本だと思う。

もちろん完璧な本は存在しない。読んだら大いに批判すればよい。真摯な批判にさらされるのが、この手の本にとってはー番の幸せなことなのだから。僕も読んで思いつくことはいろいろあるが、ちょっと残念なのは「忌憚のないところを」と言われて言われた通りボコボコにする楽しみが永遠に失われてしまったことだ。